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著者近影090510

hachico / 井手蜂子 
鹿児島県出身
短歌ユニット【ivory】やってます。

自由を求めて歌う風のように、
踊る水のように、流れて、
ゆくこと。
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【掌編】血滴子異聞
  時は清朝・雍正帝の頃、皇帝は質素・倹約を旨とし世の乱れた風紀を正す善政を敷く一方で、政策に逆らい贅を好む官吏、私財を貯めこむ地方官については隠密を放ち徹底的に弾圧した。
 皇帝直属の名もない隠密集団は、その圧倒的な暗殺能力からいつしか「血滴子」と呼ばれ恐れられるようになる。


 ある日、血滴子の中でも群を抜いた精鋭である大熊、咆虎の二人に大命が下った。皇帝の同腹の弟・允異の暗殺である。
 二人はこの暗殺に特殊な道具を与えられた。後世「空飛ぶギロチン」として名を馳せる暗殺器械、文献によるとその形は円盤の状態に畳まれブーメランの如く 空を飛び、標的の頭に帽子のように被さると、帽子つばの部分が首まで落ちる。つばには回転鋸が仕込まれており、暗殺者の手元に残る鎖を引けば一瞬にして鋸 が閉じ首が落ちる。
 帽子とつばの間は布で覆われており、標的は丁度袋を被ったような状態で訳も分からぬまま首を落とされるというものだ。
 大熊・咆虎の二人は指令通り、ギロチンを手に標的の居室に近づいていた。標的・允異の部屋には明かりが灯り、姿勢を正し書き物を行っている影が障子に映し出され、揺らいでいる。

―この夜更けまで、何をしているのだろうな。

 咆虎は云った。大熊が答える。

―彼の者は小説を書いていると聞くぞ。美男子が各地方を彷徨い乱れた性愛を繰り返すという筋書きが、後宮で持て囃されていると。
 好かぬ、実に好かぬな。

―理由はどうあれこの時間に臥してねえのは都合が良い、さっさと片付けてしまおうぜ。

 咆虎の語気は次第に血気を帯びてくる。

―待て、咆虎。大熊が制す。

―お前はこの命令に何も疑問も感じぬのか。

―疑問? 俺達はただの人殺しの道具だろ? 道具が疑問を持つなんて、お前どうかしてるぜ。

―しかしだ。仮にも皇弟ともあろう方を吾等のような身分の低い者の手に掛けさせる意図が分からぬ。

―それについては説明があっただろうが。だからその奇怪な道具を使うんだろ。俺達は標的に触れてはならん、顔を見てもならんとな。

―それが一番腑に落ちぬのだ咆虎よ、標的の顔を確かめず殺るというのは暗殺者としての己の矜持にもとる。

 その時咆虎はすばやく短剣を抜き、大熊の喉元に突きつけた。

―なぁにが矜持だ! おめェ、主君への恩と忠義を忘れたか?
 
―忠義…

 褒状を受けた時ですらただ一言を賜っただけで、拝顔も叶わなかった皇帝への忠義か。大熊は一度皇帝拝謁を許された時の喜びと落胆を思い出しながらも動じずに答える。

―考えろ咆虎、いくら標的が高貴とはいえ確かめずに殺れば失敗の率は高くなりその時吾等は死ぬであろう。
 しかし高貴と確かめそれを知りながら殺せば、やはり吾等は罰を受け死ぬであろう。 …そうでなくてもこの使い慣れていない道具では失敗する。犬と人形で訓練し成功した率はいくらであった? 主君はそういう命を吾等に与えたのだぞ。

―ごちゃごちゃうるせえな。あの方は奴隷だった俺達を解放し、召抱えて禄を下さったんだ。あの方がいなかったら俺達は蟻のようにあっさり死んでたさ。あの 方の為に命を落とすなら俺は悔いはないぜ。おめえがこれ以上くだらないお喋りを続けるつもりなら、まずここでお前を殺る。

―吾も同じ考えぞ、咆虎。あの方の為に命を落とすことに悔いはない。…だからこそこの仕事、確実に仕留めて死にたいとは思わぬのか?

 その言葉の意味を飲み込んだ咆虎はにやりと笑い剣を収め、ギロチンを捨てた。

―行こうぜ大熊、最後の仕事、お前と一緒で良かった。






 命に逆らい馴れた武器を手にした二人は、標的の部屋へ静かに侵入し、名乗りを挙げる。
―吾等は皇帝の影の者・不浄の手足、大熊・咆虎。
 皇帝の命をにより汝の命を頂戴する。汝、皇弟允異か、名乗られよ!
 
 標的の男はゆっくりと顔を上げ、二人の顔を真っ直ぐに見据えた。

―朕は清朝第五代皇帝・胤眞なり。そなた達のことは良く知っている。
 …しかし残念ながら、吾が弟暗殺の命を下した覚えはないのだ。
 …おそらく允異の企みであろう、そなた達の仇、必ずとってやろう。

 その時、雍正帝の護衛はわずか三人だったという。それまで何千何万もの返り血を浴びてきた大熊・咆虎の二人は身に付けた数々の武器の一つも振るうこと叶わず、ここで斃れた。
 彼等は歴史にその名を残すことはなく、物語はただ後宮の女達の口の端によって伝えられるのみである。

 * * * * * * * * * *

いやあ、中国の武具って萌えるよねー(笑)
「空飛ぶギロチン」はこちら。
…いやまじありえないって。


| 散文/詩 | 18:12 | comments(0) | trackbacks(0) | |
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